私が見た虹
ここまで書いてきたことは、このブログを書くことが決まる前のことです。まさかこんなことをするとは思っていなかった私は、十分な資料を自分に残さず、わずかに日記等に書き留めていたことと、物忘れの激しい記憶を頼りに書いてきました。そのため、いまひとつ物足りない情報であったことを、自分が一番口惜しく思っています。
そして、これから書いていくことは、ブログにGOサインが頂けた後のことです。『ブログに書く』ことを前提に、アボリジニにまつわる物事に意識的に触れてきました。書くために資料を残すようにしましたので、少しでも噛み応えのある記事になれば嬉しいのですが、アボリジニに関心を持つようになってからわずか数ヶ月しかない付け焼刃では、そう上手くいかないとも思っています。
今回は先に進む前に、このブログを書こうと決心した日のことを、つらつらと書かせて頂きます。
私が旅をする中で、たまたま巡り会ったアボリジニの物事。歴史の断片。広大なオーストラリアの大海原に散らばった貝殻のようなもの。これらを、私はこれまでお伝えしてきました。いつも真面目に深刻に書いていては、どんよりとした曇り空のようなブログになってしまいそうで、努めて明るく、私が出会ったことを書くようにしてきましたが(明るい方が好きな私の性格にもよりますが)。実際の私の心情は、アボリジニについて知れば知るほど、彼らの悲惨な歴史に悲しみと苦しみを感じるようになりました。暗くて重い何かを抱えていました。
特に、これから詳しくご紹介する、Reconciliation Weekのイベントの一つ、『The Journey-40 years on 』、1967年の憲法改正の歴史を紹介した展示会は、私に強いショックを与えました。それは、とても切ない歴史でした。しかし、同時に私は、絶望の淵から這い上がろうとする人間の力強さ、自分の同胞のために決して諦めずに強い意志で活動を続けてきた人々の尊い姿に、深く感動しました。
その日は夕方の雨上がりでした。私は図書館や博物館のあるアデレードのノーステラス通りを歩いていました。ぼんやりと、これまで自分が出会ってきたアボリジニに関する様々な事柄について考えていました。
オーストラリアに来る前の私は、全くアボリジニに興味がありませんでした。その存在は知っていても、全く興味はわきませんでした。そして、オーストラリアに来たばかりの時も同様でした。
しかし、旅の中で偶然出会ったアボリジニの貝殻。それらに興味を抱き、私は拾い集めていたのでした。
私は自分が知ったことを、自分の中で留めておいていいものかどうか考えていました。私が知ったことを自分の中に留めていては、何一つ変わるものはないのです。けれど少しでも、私が知ったことを公共の場に置けば、何かが変わるのではないかと思いました。
横を通り過ぎた建物の窓に、虹を見たのです。振り返れば、大きな虹が現れていました。下の写真の虹です。
Rainbow Serphant、「虹の大蛇」。これはアボリジニの文化が持つイメージです。アボリジニにとって、大地創造の神話と結びついた特別な存在です。そして私は個人的に、このイメージを大変気に入っています。魅了されているといってもよいほどです。
そして、私はこの虹を見て、アボリジニに関するブログを書こうと決めました。上の写真の虹が、私の決心の最後の後押しになりました。ささいな自然現象に心を動かされるなんて、子供じみていると思われるかもしれませんが、Reconciliation Weekの旗の向こう、雨上がりの空にかかった色鮮やかな大きな虹。人間の決心には時として、自分の意図を全く越えた何かのきっかけを欲するのかもしれません。