ロットネスト島の空き地
フリーマントルからフェリーに激しく揺られて(この日は高波でした)、三十分ほど。ロットネスト島は、白い砂浜と紺碧の海がご自慢のリゾート地であります。しかし、私が訪れたのは、冬になろうかという秋。加えて、にわか雨に見舞われる生憎の曇り空。海で泳いでビーチに寝ころび、ガンガンの日射しを満喫するなんて遠い話です。旅行会社が何と言おうと、ここに来るなら夏ですよ!(笑)それでも、島を一周するBayseeker Busに乗り込んで、車窓から海を眺めれば。延々と続く『誰もいない』砂のビーチ、インド洋は雄大で、岩浜に次々と襲いかかるサーファーにはたまらないだろう勇壮な高波に、気分はスカッとしました。フレンドリーなバスの運転手さんの名所ガイドも面白かったです(数千円のバスツアーより、約七百円で乗り放題のBayseekerバス!)。それに、曇りだからこそ、時々出る晴れ間が見せてくれる、海の美しさがよく身にしみますね。
また、色々と種類のある無料ガイドツアーで、もっとロットネスト島を楽しみました。例えば、クオッカツアー。クオッカは、この島にしかいないワラビーの仲間で、ピカチューみたいな大きさです。ガイドツアーではクオッカのいる場所へと案内しながら、生態などについて説明してくれます。道中、クオッカを見つけては、初めこそ喜んだものですが、島に一日もいれば至る所に存在することに気付きます。特に、クオッカは夜行性なので、夜になるほど出没し、私が泊まったユースホステルの前にも、とても慣れた感じで現れました。
そのような感じで、ロットネスト島を遊びながら、船着き場やスーパーやレストランのある街の中心部をフラフラしていました。そこで偶然、街の外れで、ある空き地を見つけました。道路に面して、近くに家らしき建物もありましたが、そのガランとした空き地には何も無く、曇り空と相まって、どこか寒々としていました。寂しい感じがしました。案内板がありましたので読みました。そして、この場所が、アボリジニの『忘れさられた』共同墓地であったことを知りました。共同墓地の案内には、次のようなことが書かれていました。『彼等はここで酷い扱いを受けた。・・・・ここは共同墓地であることを忘れさられ、道路や家が建てられていた。・・・・この場所に敬意を払ってください』。